羽釜 + ガス火 で料亭「ご飯」
美味しい炊飯法とは?
炊飯器の”べちゃ飯”が苦手で、家庭で美味しい「ご飯」を求めて数年来、試行錯誤してきました。
電気からガスの火力アップを期待して、炊飯鍋→圧力鍋→土鍋と試してきましたが、手間暇と美味しさが比例せず。後片付けが面倒くさいということで最終的に固形燃料+テフロン加工メスティン炊飯へ落ち着いていました。
しかし、固形燃料だと火加減ができないため、繊細な水加減が炊飯の成否を分ける結果になり不満でした。
そうこうしているうちに辿り着いたのが、広島文化学園短期大学植物栄養学会の今中鏡子先生の「おいしいご飯の炊き方(炊飯の科学)」
炊飯に適した鍋の材質は?
4分までは弱火、その後強火にして炊き始めてから8分から12分の沸騰をおすすめします
「おいしいご飯の炊き方(炊飯の科学)」 p3 6-7
沸騰後必ず98℃以上を20分間保つことが大切です
美味しく炊けるといわれている土鍋は、温まりににくく冷めにくいので、沸騰するまでの時間調整が難しいことが分かります。しかも蒸らすときに蒸気穴を塞がないと余熱でどんどん水分が蒸発してしまい、ご飯の表面が乾燥してしまう恐れもあります。
メスティンなどのアルミ鍋は、ガス火を使用すれば火加減が容易であるかわりに、冷めやすいため蒸らし時間の時にタオルで包むか、弱火で追い炊きが必要になることが分かります。
それぞれ一長一短があるようです。
鍋の形状は?
炊飯器の宣伝文句に、『羽釜型だとお米が鍋の中で踊るように対流して美味しく炊きあがる』などの常套句がありましたが、これも科学的には無関係のようです。
炊飯中、米の位置が大きくいれかわることはありません。赤く色を付けた米粒を炊き始める前に入れると、炊きあがったときも同じ配置にとどまっています。
「おいしいご飯の炊き方(炊飯の科学)」 p15
ということで羽釜型だから長方型のメスティンよりおいしく炊けるということはないようです。
ただメスティンに比べて利点があるとしたら、
①「釜」であることで同じ材質でもメスティンより厚みがあり、冷めにくい可能性。
②「釜」のすり鉢構造によりメスティンより加熱ムラが起きにくい可能性。
③『釜』の深さがあり、蓋と米の空間が大きく蒸らし効果が大きい可能性。
④木蓋による余剰水分の吸着と香りづけが期待できる。
などの炊飯に特化した鍋の特徴がありそうです。
一合炊 アルミ製羽釜 ~遠藤商事 ごはん鍋 業務用 フッ素加工~
ということで、先述の羽釜のメリットを期待して、Amazon で購入してしまった 一合炊 アルミ製羽釜 ~遠藤商事 ごはん鍋 業務用 フッ素加工~。本商品にしたのは、『フッ素加工』であること、日本製であること が決め手でした。

いざ開封!

セット一式

『かまど』と固形燃料受けをセットしたところ

木蓋と羽釜をセットしたところ
羽釜を五徳にのせるための網が必要

ガス火で炊飯しようとガスコンロにセットしたところ・・・五徳の上に乗りませんでした・・・

五徳を外して、かまどをガス火の上にセットしたところ、空気の流れが悪く、赤やオレンジの不完全燃焼している炎になってしまいました・・・

五徳の上に網を載せると丁度よい感じ

100均で購入した10cmの網、中央を温度センサーが通るように加工

五徳の上に10cm網をセット。ちゃんと温度センサーも顔出してます。

いい感じにフィット。
いざ炊飯!
精米
やはりお米は玄米で保存し、食べる直前に精米するのが風味が良い。タイガー 家庭用精米機で1合精米する。

浸水

お米を研いだあとは、30分以上かけて浸水させます。この浸水が不十分だと芯の残ったご飯となります。
また炊き込みご飯のときは、浸水前に調味料を加えると浸透圧で浸水不十分となる可能性があり、浸水が終わってから調味料を加えましょう。
加熱

沸騰したら蓋を少しずらして余分な水分を飛ばします。このとき泡とともに糊状の吹きこぼれがでるので、あらかじめコンロ脇にアルミホイルかクッキングペーパーを敷いておいても良い(火災にならないよう最初から少し湿らせておく)。

ぼこぼことした沸騰する音とあぶくが出なくなり、水蒸気のみ上がるようになったら余分な水分が抜けたサイン。ここで弱火にして、好みの硬さになるよう水分を1~数分飛ばします。このとき、焦げ臭さの有無を確認しながら加熱時間を調整することで、お焦げあり・なしの炊き分けができます(テフロン加工の場合はお焦げなしをお勧めします)。
蒸らし

火を消したら水蒸気が漏れないよう蓋をずらして蒸らします。蒸らし時間は沸騰開始後20分までなので、火を止めてからの時間でないことに注意!!
炊き上がり
白米

粒が立ってツヤツヤで美味しそうです。
炊き込みご飯
成功例

炊き込みご飯では具材を入れすぎると蒸気の通り道がなくなるので、上の動画くらいの量が炊飯しやすいです。

こちらは若竹ごはんですが、蒸気の通りが良くなるよう穂先を立て掛けて炊飯しました。
失敗例

こちらは具材の入れすぎで、米粒が立っておらず、通常の加熱時間では水分が十分に飛ばず”べちゃ飯”になった失敗例でした。
鍋のお手入れ
スポンジで軽くこするだけ
テフロン加工のおかげで洗剤を使用しなくてもスポンジで擦るだけでしっかりと汚れが落ちます。洗剤の香りがご飯に移ってしまう恐れがあるので、基本的には使用しません。